陶器市だけではもったいない
器と里山をゆっくり楽しむ、
いつもの益子


春のゴールデンウィークと秋の11月初旬。益子陶器市の日には、約50の販売店に約800のテントが加わり、町じゅうが器を探す人でにぎわいます。2026年の秋の陶器市は、10月31日(土)から11月3日(火・祝)までです(益子町「益子陶器市」)。
でも、益子の器の店は一年中、開いています。城内坂通りには益子焼の店がおよそ30軒。人間国宝・濱田庄司が暮らした茅葺の家や、作り手が集めた品々を見せる参考館があり、ろくろを回して自分の器を作ることもできます。少し町を離れれば、茅葺の楼門が残る古寺や、季節ごとに花の咲く里山が広がります。
陶器市のない日の益子は、器を手に取って作り手と言葉を交わし、里山を歩く町。陶器市とはひと味違う、いつもの益子の楽しみ方を紹介します。
アクセス益子への行き方の目安
| 出発地 | 行き方 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 宇都宮駅 | 車(県道1号経由) | 約43分 |
| 宇都宮駅 | 西口から関東自動車の路線バス 益子行き | 約70分 |
| 北関東自動車道 真岡IC | 車(国道294号または国道121号) | 約25分 |
| 北関東自動車道 桜川筑西IC | 車(県道41号) | 約20分 |
| 秋葉原駅 | 高速バス「関東やきものライナー」(茨城交通)「益子陶芸美術館入口」または「益子駅」下車 | 約2時間30分 |
| 小山駅 | JR水戸線で下館駅へ(約26分)、真岡鐵道に乗り換えて益子駅へ(約45分) | 約1時間10分乗り換え時間を除く |
| 笠間(茨城県) | 車(県道1号経由) | 約30分 |
所要時間は目安です(2026年10月時点)。小山駅・宇都宮駅へは、東北新幹線やJR宇都宮線(湘南新宿ラインの直通を含む)で。週末や行楽シーズンは道路が混み合うことがありますので、渋滞にはお気を付けください。
城内坂通り器を見比べて、ひとつを選ぶ
益子のまち歩きの中心は、城内坂交差点から東へ約500mのびる城内坂通り。益子焼の販売店がおよそ30軒並び、カフェやギャラリーも点在しています。何軒かめぐって器を見比べ、自分の暮らしに合うひとつを探すのが、この通りの楽しみです。
通り沿いの陶庫は、大正末期の木造商家を生かしたギャラリー。奥には大谷石造りの旧米蔵を使った石蔵ギャラリーがあります。城内坂交差点の近くにある日下田藍染工房は江戸時代の寛政年間の創業で、茅葺屋根の建物と、72個の藍甕が並ぶ甕場は県の有形文化財です。
通りを進めば、2階のギャラリー「緑陶里」で若手作家の新作にも出会えるやまに大塚 本店、3つのフロアで2週間ごとに展示が入れ替わるもえぎ城内坂店。訪れるたびに違う作り手に会えるのは、陶器市の日とはまた違う楽しみです。
窯元の店も通り沿いに並びます。1861年創業の大誠窯は、古い民家を生かした店で、柿釉や糠青磁釉といった益子の伝統的な釉薬の器を扱い、敷地には今も使われている大きな登り窯があります。三つの大きな窓が目印の知床窯 益子ギャラリー、店内の「坂の上ギャラリー」で企画展を開く大宿窯にも立ち寄ってみてください。

通りの外にも、足をのばして
車があれば、町の外れの店にも寄ってみましょう。山あいの大羽地区にあるもえぎ本店では、陶や木、ガラス、鉄の手仕事を見たあと、併設のカフェで山の緑を眺めながらひと息つけます。1998年に益子で生まれたstarnetは、「土地に根ざした暮らし」をテーマにした店とカフェ、ギャラリー「遊星」がひとつの敷地に集まる場所。1864年創業の窯元つかもとでは、駅弁「峠の釜めし」の釜を今も作り続けています。
濱田庄司ゆかりの地民藝の陶芸家が見つめた暮らしの美
益子焼を語るうえで欠かせないのが、1955年に第1回の人間国宝に認定された陶芸家・濱田庄司です。城内坂通りからほど近い益子陶芸美術館では、濱田庄司や島岡達三、加守田章二らの作品を所蔵し、土器や陶器から益子の歴史をたどることもできます。
同じ敷地には、濱田が実際に暮らした茅葺の母屋を移した旧濱田庄司邸があります。太い欅の大黒柱や、松の梁を幾段にも組んだ天井、囲炉裏の板の間に置かれた手回し轆轤と蹴轆轤。邸の前には、濱田が愛用した登り窯が移築・復元されています。

もう一歩、濱田の世界に近づくなら濱田庄司記念益子参考館へ。濱田が1977年に自邸の一部を使って開いた施設で、作陶の手本として国内外から集めた陶磁器や漆器、木工、染織などが並びます。「参考」の名には、集めた品々から受けた喜びを多くの人と分かち合いたいという思いが込められています。
参考館のまわりにも窯元が点在しています。陶房日向は益子伝統の柿釉を専門にする窯元で、3代目は濱田庄司に学び、民藝の流れを受け継ぎました。店では濱田庄司の作品も扱っています。参考館前のバス停から歩いて7分ほどのえのきだ窯は、急須づくりで知られる窯元です。
体験見て選んだら、自分でも作ってみる
器を見て回るうちに、自分でも作ってみたくなったら陶芸体験へ。城内坂通りのやまに大塚 陶芸教室では、ロクロ、てびねり、絵付けの3種類から選べます。窯元直営の陶芸体験教室よこやまでは、スタッフが手伝ってくれる電動ろくろ体験のほか、30分ほどで仕上がるオカリナの絵付けなら、その場で完成して持ち帰れます。つかもとの陶芸教室でも、電動ロクロや手びねり、絵付けが体験できます。
ろくろで作った器は、焼き上げてから後日届けられるのが一般的です。旅から帰ったあと、届いた器を開ける楽しみまでが益子の思い出になります。受け入れ人数に限りがある教室もあるので、予定に組み込むなら早めに確かめておくと安心です。
里山と季節町を少し離れて、古寺と花の里山へ
益子の中心から少し足をのばすと、のどかな里山の景色が広がります。高館山の中腹にたたずむ西明寺は、坂東三十三観音霊場の第20番札所。明応元年(1492)に建てられた茅葺の楼門、天文12年(1543)に建てられた三重塔、本堂の中の厨子と、3つの国の重要文化財があります。境内には益子焼の陶祖・大塚啓三郎の碑もあり、焼き物の町の始まりにも思いを巡らせられます。

西明寺のある高館山一帯は益子県立自然公園。北のふもとには、約31haの里山林に全長約4kmの散策路がのびる益子の森があり、高さ20mの展望塔や長さ46mの吊り橋「あじさい橋」を歩けます。益子でいちばん高い雨巻山(標高533.3m)は、春は野草、秋から冬は遠くの山々まで見渡せる眺めが楽しめる山です。
益子の季節の楽しみ
いちご狩り
国道294号沿いにハウスが並ぶJAはが野益子観光いちご団地で、「とちおとめ」の食べ放題が楽しめます。真岡鐵道の北山駅から歩いて行ける距離です。
小宅古墳群の桜と菜の花
古墳の丸い丘が、約200本の桜と約2haの菜の花に彩られます。この時期には「菜の花・桜まつり」が開かれます。
益子陶器市(春)
城内坂やサヤド地区を中心に、町内の各所が会場になります。
あじさい祭り
鹿島神社の兼務社・太平神社の「あじさい山」で開かれます。祭りの期間には提灯が灯され、昼とは違う雰囲気に。益子の森の「あじさい橋」のまわりにもあじさいが植えられています。
鹿島神社の夏の祭り
夏越祭では益子焼をはめ込んだ陶板大神輿が渡御し、祇園祭では町指定無形民俗文化財の御神酒頂戴式が行われます。
ひまわり祭り
道の駅ましこの北側に広がる約4haの畑が、祭りの期間に開放されます。ひまわりの摘み取りもできます(協力金が必要)。
圓通寺の紅葉
室町時代の表門(国の重要文化財)が残る古刹。秋には本堂裏の遊歩道で紅葉のライトアップが行われます。
益子陶器市(秋)
春と並ぶ益子最大のにぎわい。2026年は10月31日(土)〜11月3日(火・祝)。陶器市の前後に訪れて、ゆっくり店をめぐるのもおすすめです。
雨巻山からの眺め
木々が葉を落とすと見通しがきき、筑波山や日光・那須の山々に加え、富士山や東京スカイツリーまで見えることもあります。
花の見頃や祭りの日程は、その年の天候などによって変わります。お出かけ前に益子町・益子町観光協会の案内をご確認ください。
あわせて立ち寄りたい旅の拠点と、足をのばす先
益子駅から電車で約13分
真岡(真岡市)
真岡駅の東側にあるSLキューロク館では、大正時代の9600形蒸気機関車などを間近で見られます。真岡鐵道の「SLもおか」は2026年1月から全面運休中で、2027年度の運転再開を目指しています。
車で約30分
笠間(茨城県笠間市)
益子と笠間は、2020年に日本遺産「かさましこ~兄弟産地が紡ぐ"焼き物語"~」に認定された焼き物の兄弟産地。益子焼の陶祖・大塚啓三郎は、笠間の窯で陶器づくりを学んだと伝えられています。
モデルプラン器と里山をめぐる一日
電車・バスで
- 益子駅 ── 観光協会で地図を手に入れる歩いて約15分
- 城内坂通り ── 陶庫・日下田藍染工房から、器の店をめぐる通りの先へ
- 益子陶芸美術館・旧濱田庄司邸 ── 濱田庄司の暮らしと登り窯車・タクシーで
- 濱田庄司記念益子参考館 ── 濱田が集めた国内外の品々車・タクシーで
- 西明寺 ── 茅葺の楼門と三重塔益子駅まではタクシーで約10分
車で
道の駅ましこで情報を集めてから、城内坂通りへ。午後は西明寺や益子の森で里山を歩き、もえぎ本店やstarnetのカフェでひと休み。季節が合えば、いちご狩りやひまわり畑も組み合わせられます。
駅や道の駅ましこなどでは電動アシスト付きのレンタサイクルも借りられます。点在する窯元や店をめぐるのに便利です(レンタサイクル)。貸し出し・返却の場所は変わることがあるので、利用する前に問い合わせ先の道の駅ましこでご確認ください。